二拠点生活という言葉を聞くと、
「自然の中で暮らしたい」
「都会と地方のいいところを両方楽しみたい」
「仕事を続けながら、週末は別の場所で過ごしたい」
そんな楽しそうな生活を想像します。
もちろん、それも二拠点生活の大きな魅力です。
でも、不動産の仕事をしている私が気になることがあります。
その家を使わなくなったとき、どうするかまで考えて購入していますか?
ということです。
「最後は売ればいい」は、本当にできますか?
不動産を購入するとき、多くの人は「買うこと」を一生懸命考えます。
価格はいくらか。
景色はいいか。
駅から近いか。
間取りはどうか。
周辺環境はどうか。
もちろん、どれも大切です。
でも、特に60代以降に不動産を購入するなら、私はもう一つ、
「この不動産から、最後にどうやって退出するのか」
を考えてほしいと思っています。
地方の物件の場合、将来売却しようと思っても、必ず買い手が見つかるとは限りません。
人口が減っている地域もあります。
建物が古くなれば、建物そのものに価値がつきにくくなることもあります。
場合によっては、売却するために価格を大きく下げなければならないこともあるでしょう。
自分が元気であることを前提にしない
もう一つ忘れてはいけないのが、自分自身の変化です。
60代では、東京と地方を行ったり来たりすることもそれほど大変ではないかもしれません。
車を運転して買い物にも行けます。
庭の手入れもできます。
家の修繕にも対応できます。
でも、10年後、15年後はどうでしょう。
車を運転しなくなったら。
長距離の移動が大変になったら。
一人で建物を管理できなくなったら。
二拠点生活を始めるときには、どうしても「現在の自分」を基準に考えてしまいます。
でも、住まいは長く残ります。
だからこそ、「将来の自分」から逆算して不動産を選ぶ視点も必要なのです。
家族に残せばいい、で終わらせない
「自分が使わなくなったら、子どもに残せばいい」
そう考える方もいらっしゃいます。
でも、その不動産を子どもが欲しいかどうかは別の問題です。
遠方に住んでいれば管理も必要になります。
固定資産税などの費用もかかります。
建物が老朽化すれば修繕や解体が必要になることもあります。
親にとっての「財産」が、子どもにとって必ずしも同じ意味での財産になるとは限りません。
だから購入するときに、
「将来この家をどうしたいと思っているか」
を家族と話しておくことも大切だと思います。
「買える物件」ではなく「終わらせられる物件」を選ぶ
60代以降の不動産購入では、価格が手頃だからという理由だけで選ばないことも大切です。
将来売却する可能性があるなら、購入前に、
・どのくらい不動産取引がある地域なのか
・交通手段は確保されているか
・生活に必要な施設が周辺にあるか
・賃貸という選択肢はあるか
・建物を維持するためにどの程度費用がかかるか
なども確認しておきたいところです。
つまり、
「自分が欲しい不動産」だけではなく、「次の人も欲しいと思える不動産か」
という視点です。
二拠点生活こそ「出口」から逆算する
私は、二拠点生活そのものにはとても魅力があると思っています。
人生の後半だからこそ、好きな場所で過ごしたい。
今までとは違う暮らしをしてみたい。
そんな選択があっていいと思います。
だからこそ、安心して楽しむためにも、購入するときに「終わり」まで少し考えておく。
どちらかに住めなくなったらどうするのか。
売るのか、貸すのか、家族に残すのか。
そして、本当にそれができる不動産なのか。
二拠点生活は、「どこに住むか」を決めるだけではなく、「最後にその不動産をどうするか」まで考えて始める。
60代からの住まい選びでは、そんな視点がますます大切になってくるのではないでしょうか。













