最近、都市部と地方など、2つの場所を行き来しながら暮らす「二拠点生活」という選択肢を耳にすることが増えました。
仕事を少しずつ減らして、自然の多い場所で過ごす時間を増やしたい。
都会の便利さも手放したくないけれど、週末や長期の休みには地方でゆっくり暮らしたい。
60代以降の暮らし方として、二拠点生活に魅力を感じる方もいらっしゃると思います。
私自身、不動産の仕事をしている立場から考えると、二拠点生活そのものはとても魅力的な選択肢だと思います。
ただし、60代から始めるのであれば、「今、行き来できるか」だけではなく、もう少し先のことまで考えておく必要があります。
1.車を運転しなくなっても生活できますか?
地方での生活では、車が欠かせない地域も少なくありません。
今は問題なく運転できても、70代、80代になれば、いつか免許を返納することも考えなくてはいけません。
そのとき、スーパーや病院、駅までどうやって行くのか。
バスはあるのか。タクシーを日常的に利用できるのか。家族に頼らず生活できるのか。
「車がある現在」ではなく、「車がない将来」も一度想像してみることが大切です。
2.二つの家を行き来できなくなったら、どちらを選びますか?
二拠点生活を始めたときには、東京と地方を月に何度も行き来できるかもしれません。
でも、体力や健康状態が変われば、移動そのものが負担になる可能性があります。
そのとき、最終的にはどちらに住むのでしょうか。
都会の自宅に戻るのか、地方を終の住処にするのか。
今すぐ決める必要はありませんが、「いつか一拠点に戻す可能性がある」という前提は持っておいた方がいいと思います。
3.地方の家を使わなくなったとき、どうしますか?
ここは不動産として、とても大切な問題です。
「使わなくなったら売ればいい」
そう考えて購入する方もいらっしゃるでしょう。
ただ、不動産は必ず希望する価格で売れるとは限りません。地域や立地、建物の状態によっては、買い手がなかなか見つからないこともあります。
売却できるのか。
賃貸にできるのか。
管理を続けられるのか。
将来の出口まで考えて物件を選ぶことが大切です。
4.維持費を二拠点分払い続けられますか?
家は購入して終わりではありません。
固定資産税、火災保険、修繕費、庭や建物の管理費など、所有している限り費用がかかります。
マンションなら管理費や修繕積立金もあります。
さらに、二拠点を行き来する交通費も必要です。
元気なうちはそれほど負担に感じなくても、仕事を辞めたり収入が変わったりした後にも維持できるのか。
購入価格だけではなく、10年、20年先までの維持費を考えておきたいところです。
5.その家を将来、家族はどうするのでしょうか?
そして、もう一つ考えておきたいのが相続です。
自分にとっては思い入れのある場所でも、子どもや家族がその家を必要としているとは限りません。
「子どもに残せばいい」と考えていても、子どもにとっては管理や税金の負担になることもあります。
購入する前に、家族とも一度話しておくことをおすすめします。
二拠点生活は「始め方」と一緒に「終わり方」も考える
二拠点生活には、人生を豊かにしてくれる魅力があります。
だからこそ私は、「やめた方がいい」と言いたいわけではありません。
むしろ元気なうちに、新しい暮らし方を楽しむのは素敵なことだと思います。
ただ、60代からの住まい選びでは、
「今、住みたい場所はどこか」
だけではなく、
「10年後、15年後にも暮らせる場所なのか」
「暮らせなくなったとき、この家をどうするのか」
まで考えておく。
そこまで含めて考えることが、安心して二拠点生活を楽しむための準備ではないはでしょうか。














